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  曹渓山 弘宗寺の歴史  

 

弘宗寺は福山市の開祖 水野勝成ゆかりのお寺として 400 年余りの歴史を持つ 臨済宗妙心寺派のお寺です。釈迦如来坐像をご本尊としてお祀りしています。

 

弘宗寺が現在の桜馬場町に建立するまでに様々なストーリーがあります。

 

水野勝成は初代福山城城主として城下町建設にかかり一番先に父忠重の菩提寺 として賢忠寺(寺町曹洞宗)を建立しました。 そして勝成は自らの菩提寺、隠居寺建立を計画し、また福山城鬼門守護所として 深津岩山の地に東は市村境、西は奈良津町に及ぶ広大な山裾に七堂伽藍の大寺 を建立すべく幕府から建立許可を得て準備を着々と進めていました。勝成は、豊 後臼杵(大分県)月桂寺から名僧ほまれ高い蠻江禅師を三顧の礼を持って弘宗寺 開山として福山に迎え ました。しかし、蠻江禅師を迎えた時にはまだ現在の地 (桜馬場町)に寺はなく城の鬼門の方角(現在の妙政寺の場所吉津町)の松林に 韜光庵という廃寺の塔頭として仮堂を建て入山しました。 この仮堂がのちの弘宗寺となります。

 

弘宗寺開山蠻江和尚は、 幕府より紫衣を許された高徳な僧で本山に向かう時 は福山藩から道中 80 名の従者を出したという、また勝成やその子勝俊らの困り ごとの相談までしたと記されています。

 

勝成は寛永 15 年(1638 年)勝成祭主となり島原陣より帰ると戦死者及び家 臣の論功行賞を行うと共に三河以来の諸合戦、関ケ原大垣の戦い、大阪両陣、役 の家中戦死者の霊を弔うために僧侶 300 余人を弘宗寺仮堂に集め蠻江和尚を導 師とし大法要を行ったと記録されています。

 

また勝成は慶安元年(1648 年)備後一の宮吉備津神社(国重要文化財)の荒 れている本殿を蠻江和尚に命じ再建しました。蠻江和尚によって「一宮重興記」 として由緒などが記録されています。

 

同年、勝成は鞆祇園宮(沼名前神社)の社殿も蠻江和尚に命じ再建し領内安穏 を祈願し慶安 3 年(1650 年)勝成 87 歳の時、勝成は釣鐘を寄進し蠻江和尚は その神詞を書いて納めたと記されています。

 

しかし、勝成は島原一揆討伐の幕命が下り、勝成勇躍出陣、歴戦の武将としての 最後の戦いを華々しく飾ったものの、 この参陣により莫大な戦費を費やし 財政 難となり自らの七堂伽藍の大寺菩提寺、隠居寺建立は頓挫に至ったのです。 そして自らの菩提寺隠居寺を建立する夢は叶わず水野勝成は慶安 4 年(1651 年) 3 月 15 日に逝去しました。そして父水野忠重と同じ賢忠寺に祀られました。

 

その後、蠻江和尚は承応 3 年(1654 年)3 月 1 日に吉津町仮堂にて逝去。

 

福山城城主 2 代水野勝俊(勝成の子)により世羅郡小国村太平寺より弘宗寺 2 世 として乾岩禅師を迎えました。乾岩和尚は蠻江和尚の遺した「唐土曹渓六祖」よ り「曹渓山 弘宗寺」と号しました。

 

福山城城主 2 代勝俊は、寛文 6 年(1666 年)韜光庵吉津町仮堂の場所に妙政寺 を建立の計画をたて実行しました。妙政寺建立により韜光庵は消滅、弘宗寺仮堂 は立ち退きになりましたが、4 代目水野勝種の筆頭家老の上田玄蕃直次の采配に より寛文 6 年(1666 年)現在の地(東町桜馬場)に移転、そして現在の弘宗寺 山門、本堂が建立しました。勝成の弟水野忠胤の菩提寺として忠胤の子水野勝直 が弘宗寺の大檀那となり建立に尽力し弘宗寺開基となりました。山門、本堂は福 山城建立時の残りの材木で建立されたと言われています。 そして現在の弘宗寺に至ります。福山空襲でも焼失することなく、山門、中門、 本堂は当時のままの姿を維持しています。

 

弘宗寺境内墓地には開基水野勝直夫妻と娘の五輪塔三基があります。 勝直の正室は織田信長の側室の子である。 水野勝直 「弘宗院殿前内史局了良山是性大居士」

 

延宝 5 年(1677 年)弘宗寺 3 世霊道和尚は、妙政寺の建立にあたり消滅した韜 光庵に胸を痛められ再興を図りましたが藩庁から許しが得られませんでした。 何度もの交渉ののち元禄 13 年(1700 年)弘宗寺 4 世雪傳和尚の時ついに願い が叶い吉津町三津木山(木之庄町)に弘宗寺の支院として韜光寺が再建されまし た。

 

曹渓山弘宗寺開基は水野勝直(勝成弟、忠胤の子)ではありますが、水野勝成の 自らの菩提寺として高僧蠻江和尚を、豊後臼杵(大分県)月桂寺から迎え弘宗寺 を建立しようと計画していた勝成の心に想いを寄せ、そして頓挫されていた弘 宗寺建立を勝成の甥勝直が実現してくれた歴史ある弘宗寺を守り後世に伝えて いく責任感を有難く感じて深く感謝申し上げます。

 

合掌

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